ドスコイ墓場

オタクの話やオタクじゃない話や

俺のKPOP2019 A面/B面

・A面

 

2019年もたくさんのkpopに包まれ気がつけばもう12月になっていましたが時空の歪みかな?今年も好きだったkpopを振り返るやつをやりたいと思います。

 

2018年はそれまでよりkpopに深くのめり込む、というか基礎から学び直すみたいな年だったのですが、2019年はkpopが人生の中に馴染んでいくみたいな年でした。というのも今年はなんとなくみなさんも感じているとは思いますがアイドルが出す曲がこちらの生活に降りてきていることが多かったんですよね。今年はステージを降りて自分のこと、人生のこと、生活のことを、タイトル曲に据え置いてまで歌おうとする様がよく見られたように思います。(あくまでもアイドルという範疇で言っています)

 

特に今年は女子グルがアイデンティティの解放を歌っている印象が強く、エネルギーのある一年だったと感じます。その先陣を切ったのが2月にデビューしたITZYのデビュー曲DALLA DALLA。

 


ITZY "달라달라(DALLA DALLA)" M/V

 

2019年を生きる若者に道を拓いてくれているITZY。

 

恋愛なんかにこだわらない

世界には面白いものがいっぱい

 

あなたの基準に私を当て嵌めないで

私は今の私が好き 私は私だよ

 

 

この他にもポンポンキラーフレーズが頻出するITZY楽曲たちですが、本当にありがとう…ジャンヌダルク達…という気持ちがあふれます。すごく新しい歌詞かというとそういうわけでもないとは思うのですが、いままでそういう曲を歌ってきたグループとなにが違うか考えてみると、ITZYにはグループとしてのコンセプトというか、雰囲気作りがないんですよね。というかJYP全体的にそうだと思うのですが、基本的には素の状態のアイドルたちが、楽曲…詞で自身のコンセプトを形作っていく、という方式に感じます。

ITZYにはビジュアルから明確に提示されるガールクラッシュのイメージはない。だから歌う楽曲が全て普段の彼女たちの主張に見えるんですよね。近年においてはこうしたメッセージの楽曲はかつてよりも強く効果を発揮するのでしょうし、彼女たちの年代がありのままで主張している(ように見える)ことが鍵だったのかなと思います。

DALLADALLAに関してはMVでの監視カメラ・検査場というモチーフを睨みつけ呆れ笑いしながら、エレベーター・エスカレーター・ベルトコンベア・車といった「流れ」の象徴には、乗っかりつつも好き勝手やるという完璧とも言える提示がなされていて、本当に力の入った傑作だなと思います。

 

同種のメッセージを歌うものとしてはソミのBIRTHDAYも印象深いです。


SOMI (전소미) - 'BIRTHDAY' M/V

 

歌詞でも言及されたように「生まれ変わる」「古い私を見るな」という、新しい私の「誕生日」、そして「you're not invited」「今日は私の好き勝手するわ」という、自分が主役の誕生会に邪魔な人はお呼びじゃありませんという「誕生日」のイメージが盛り込まれており、提起がすごく上手だと思います。ここ2年ほどのソミの状況を鑑みても、説得力のある楽曲だと思います。みんな、毎日が誕生日やで

 

あとはMAMAMOOのHIPも最後の最後でガツンときてくれました。


[MV] 마마무(MAMAMOO) - HIP

私はイケてると言い切る、自信のある女性像をベースに、無責任な第三者の言葉には左右されず生きていこうという意思を感じます。この歌で好きなのが冒頭フィインパートの「respect you あなたがやること全て」、またファサの「どこにいてもあなたは輝いていて 世界にあなたという人は1人だけなのに どうして自分の顔に唾を吐くの」という詞で、この曲もわかりやすくエンパワメントの歌ですがただ自己肯定を力強く行い突き進むのではなく、他者と関わり連携しながら力を合わせて行こうとしていることがこの詞があることでわかります。MAMAMOOはやはり成熟した女性像を提示する力がありますね。

 

これまで「自己肯定」という事柄については2019年以前のkpopでも向き合う機会が少なからず提供されていますが、他者と関わるという視点においても言及をしているところがこのHIP、そしてTWICEのFeel Specialの秀でたところだと思います。


TWICE "Feel Special" M/V

(この曲に関しては別で記事を書いてるのでよかったら読んでみてください)

 

wnktm.hatenablog.com

 

自分を愛することを阻害してきたものは第三者からの不遜な干渉を原因とすることが多いはずですから、自分を愛そうという気持ちを提示するときには自らの力を強めて立って行こうという筋にいくものなのですが、(それは間違ってはいない)生きていく上で人と関わることは避けられません。その時疲弊してしまう心を自らの心持ちだけで生き抜こうとするのは、身一つで荒野をさまようような孤独と辛さがあると思うのです。だからHIPのように色眼鏡をかけず自分から人と関わろうという姿勢、そしてFeelSpecialにおける第三者との交流から自らを支える力をもらうという視点があることは救いであり、とても重要だと感じます。

そういうのを個人的にも求めていますし、しっくりきているのでやはり今年はfeel specialの年だったと言い切りたいほどベストだと思っています。

 

あといま挙げた曲、文章書きながらもう一回MVみたんですけど全部泣きました。

 

 

これほど自己に対峙するような名曲がよくでてきましたが、恋愛を歌う楽曲も良いものがいくつもありました。kぽの恋愛曲はトラックと詞を合わせて恋愛の心象風景を表すのがうまいなと思っていて、私の「良い」という価値観もそこに依拠するんですが、まずその中で私が一番好んでいるのがLeoのRomanticismです。

 


레오(LEO) - 로맨티시즘 (Romanticism) Official M/V

 VIXXメンバー、レオくんのソロ曲。本人の雰囲気と歌声も相まって非常に耽美な一曲に仕上がっていてうっとりします。恋した相手を「遠く遠くやってこない夜」と例えるの、タイトル通りロマンがありますね。(しゃらくさくもあるが)恋愛は実際行うとなると生活と切り離せない性質のものだと思いますが、こうして恋愛の理想、幻想、ロマン主義に更けることもあるべき側面でしょう。特に私にとって恋愛は夢想なので…

 

また私の好きな恋愛表現として「野性のような熱」があります。それは何かというと、初めて人に強く焦がれ、その思いで身が押しつぶされそうになりグラつく状態のことです。めっちゃ限定的…一番理想に近いのが嵐の「野性を知りたい」という楽曲で、

嵐 野性を知りたい 歌詞 - 歌ネット

相手に恋い焦がれ本当の部分を知りたいと、感情が燃え上がるようなむき出しの野性はなんとも未熟な10代のままならない精神を表しているようで、個人的にはとても好きな表現です。

マツモトトモの「インヘルノ」という、実の姉弟の恋愛を描いた漫画作品が人生のベストテンに入るくらい好きなのですが、ここでも姉を思うあまり自分でもコントロールできない激しい感情をぶつけてくる弟の様が表されています。

 

そんな私の好みにOnlyOneOfのSavannaはまさしくドンピシャで、


[MV] OnlyOneOf (온리원오브) _ savanna

使われている音からは焦燥は感じられないのですが、彼らのボーカルがこびりつくようで感情の滲む部分を表しているなと感じます。タイトル通りサバンナ、恋した相手を思うと、「水を飲んでもしきりに喉が渇く」。自分の恋情という果てしない砂漠の中で愛する人がオアシスであるという歌です。どこか激しさも感じながら陶酔するような一曲だと思います。

 

 

 

TREI「어질해(DEEP)」


TREI(트레이) - '어질해' 안무영상 ('Deep' Choreography Video)

バナナカルチャー所属、EXIDの後輩に当たるボーイズグループTREIのデビューEPからDEEP。正直今年でたKドルの歌の中で引くぐらい再生しているほど好きな一曲です。単に恋愛でめちゃくちゃ後悔しているって歌ってるだけなんですが雰囲気作りが上手いですね。3人の歌声とあっていてとても良いです。このリズムに合わせて体を揺らすのが本当に心地よい上に、Bメロではジュンテのボーカルが映えるシンプルな音に変わるとこも本当に気持ちいいです。ジュンテの声が少しハスキーでソウルっぽいというか…それでいて高音がよく出ます。不思議な温度の声でこれに惚れ込んでいます。

 

ちなみに同EPに収録されているLadyという曲もかなり良いです。これは思い切り踊りたくなる曲。


Trei (트레이) - 아가씨 (Lady) (Color Coded Han|Rom|Eng Lyrics) 가사

 

 

 

別れの歌として他にCLCのBreakdownが良かったなと思います。


CLC (씨엘씨) Breakdown - Color Coded Lyrics [HAN/ROM/ENG]

NOをタイトル曲に提げたEP 「No.1」収録曲。メロウな雰囲気に夜の暗闇が想起される、ムードのある一曲です。これ、ある恋人同士が心が離れてから別れ話をするまでを女性目線で歌った歌(のはず)なんですが、その別れの言葉を伝えた夜のことを「it's beautiful day」と言ってのけるところが悲しくて粋でしびれます。個人的には今のCLCに一番合うと思うのでこういう曲でカムバしてほしいな。

 

またLUNAのDo you love me?


LUNA 루나 'Do You Love Me (Feat. 죠지)' MV

柔らかく優しいメロディに歌声が響きながら、MVの映像と結びつくことでどこか寂寥感を感じます。ルナ自身と繋がっているような雰囲気を感じる一曲です。

 

こうしてみると私は恋愛と夜のアンニュイな雰囲気が結びつく曲が好みなんだな。

 

 

でも純粋にキラキラした恋愛の曲も好きで、Cherry Bullet の「네가 참 좋아(Really Really)はその系統では今年特に良かったです。


[MV] Cherry Bullet(체리블렛) _ Really Really(네가 참 좋아)

今年FNCからデビューしたガールズグループ、チェリバレ(メンバーにプデュ48最終20人まで残ったへユンがいます!)の2ndEPタイトル曲。恋愛ポップスど直球という感じの爽やかな一曲です。あからさまにティーンの恋愛!!!!てなものですが、10代の、その中でもとても初々しく誰かを好きでいられることの純粋な喜びを音で100%表せているなと思います。あんまり計算とか、戸惑いとか逡巡もない、「好き!!!!嬉しい!!!!」って走り回る女の子の姿がそのまま曲になりました。と言った趣でとても好きです。これサビの振り付けもよくあっていて見てて気持ちがいいんですよね。

 

またTXTのBlue Orangeade。


TXT (투모로우바이투게더) 'Blue Orangeade' Lyric Video

趣味が正反対だけどそれでも好きだよと、ポップなメロディに乗せて歌っています。単純にトラックが好きなのですが、「君は赤い薔薇が好き 君は青い海が好き でも僕は紫が好き 山行きたい」という歌詞はユーモラスで面白かったです。(ところで詞の中で正反対の2人の好みを表すのに2pacとBiggieが使われてましたけどこれこんなテンションで触れて良いやつなんですか?)

 

シティポップで爽やかに恋愛を歌い上げたのが竹内美宥の「My Type」。


2019 월간 윤종신 10월호 - 내 타입 (With 미유) (Monthly Project 2019 October Yoon Jong Shin - My Type) MV

確かな歌唱力がありながらパンチ力では弱いかもと思われていたみゆちゃんの歌声がよく映える楽曲を提供されていて本当に嬉しかったです。歌声で空気を作るのが上手ですからもっともっと彼女のステージが見たいですね。

 

 

アイドルの音楽ではしばしばストーリーとメッセージがつきものですが、それらは決して安っぽくならずに表現できることがここまでの楽曲を見てもよくわかります。

 

ただ、一番面白いのはそういうストーリーにもならない、曖昧な「感覚」「感性」「気分」が表象されている楽曲だと思います。

テヨンのLong Flightは個人的にはかなりの傑作です。


[STATION 3] TAEYONG 태용 'Long Flight' MV

ひたすら「ああ…なんかわかるなあ…」というおぼろげな気持ちになり体を揺らす一曲でした。人生の中ではっきりとした輪郭を持たないけど確実に存在する時間というのがあって、人生はイベントだけで構成されてるのでなく平凡な生活がありもっと細部にそういう時間が散りばめられてると思うんですが、こうした「気分」を歌う曲はその感覚にすっと染み込んで行く、特別な歌だと思います。音楽がある人生ってこういう曲のことを言うんじゃないか!?と思ったり。

 

 

 

 

 ・どうしても言及させてくれ…VERIVERY

今年1月にデビューしたVERIVERY、これまで3度活動していますがなんとその全ての楽曲に裏切られることがなく、ほんまのほんまのほんまに最高のグループです。


VERIVERY - 불러줘 (Ring Ring Ring) MV

 

 

昨年プレでリリースしたSuper Specialから現在最新曲TagTagTagまで、少しづつ色を変えつつもタイトル曲は全てニュージャックスイングで統一されており、ニュージャックスイング警察としては嬉しい限りです。

特にタイトル曲にFromNowを提げた2作目、Veri-ableは、80’sの雰囲気を丁寧に表した傑作EPと思います。


VERIVERY - 딱 잘라서 말해 (From Now) MV

 

 

楽曲的に非常に満足させてくれるVERIVERY、それだけでありがたい限りなのですが 、私が惹きつけられる原因となったのが彼らが公式MVとは別に制作しているDIYMVです。


VERIVERY - '딱 잘라서 말해 (From Now)' DIY M/V (Produced by VERIVERY)

 

 

初めて見たときに「え?みんな死んだの…?」と呟いてしまったほど、なぜかノスタルジーと不穏さを感じさせるMV。歌詞のシンプルな恋情も相乗効果を発揮し彼らの死の匂いを濃くしています。このアンバランスさが胸に深く残り、それまで以上に彼らのことを好きになったのでした。


VERIVERY - Tag Tag Tag MV

と思っていたら続く3作目で公式から不穏さが提示された!!!!!!!!!!!!!!!!!この時の高揚感といったらとても言葉じゃ足りません。これ今年のベストMVにあげられるくらい最高です。

それまで好きな相手のことを歌い、彼らの無邪気さと可愛らしさをMVでもそのまま表出してきたベリベリが、ここで突然矢印を自分の方向に向け始めます。MVはなんとなくストレンジャーシングス的な雰囲気ではあるのですが、表されているのは自己との対峙。見えざるもう1人の自分と思わぬところで遭遇する…と言う風に解釈しています。と思っていたら次の新曲のタイトルは「FACE ME」とのこと!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!やっぱりあんたたち自分のこと考えたいのね!!!!!!!!!!!!!!!!!!!

 

VERIVERYがリリースする安定のクオリティの楽曲、そして彼ら自身の無邪気さと不穏さのミスマッチによる映像表現に今年は元気付けられました。来年も楽しみです。

 

 

最後に今年印象深いパフォーマンス映像を。


[ENG sub] [3회] ♬ 너나 해(Egotistic) - AOA @2차 경연ㅣ커버곡 대결 컴백전쟁 : 퀸덤 3화

Mnetのカムバプログラム、クインダムでのAOAによるMAMAMOOカバー。楽曲の良さもさることながら間奏から登場するクィアダンサーたちが本当に素晴らしかった!AOAはこの前段階の「Miniskirt」のアレンジステージでセクシーなボンテージ衣装に身を包んでいましたが、


[풀버전] ♬ 짧은 치마 - AOA @1차 경연 컴백전쟁 : 퀸덤 2화

 

これがダンサーに移りAOA自身はメンズライクなスーツに変わっています。ノナへは自己中心的な男にうんざりして見放す女の歌ですが、原曲が怒りと情熱に溢れた演出であったのに対しAOA版ではどこか自由気ままな気持ちを上乗せしたものになっています。クィアダンサーとコラボレーションすることで全方向的に自己を解放していこうと言う明るい心持ちや祝福の気分が載せられ、希望のあるステージに仕上がっていると感じます。

 

こうしたステージがはっきりと行われたことでK-POPへの信頼が増しました。発案もメンバーであるジミンちゃんによるもので、アイドル自身の志向の変化、あるいは明確な提示がなされたことは光明だと思います。今この時代のkぽと共にいることができて嬉しいなあ

 

 

 

 

ということで今年好きだった楽曲のまとめでした。自分のロマンを再確認しながらも、アイデンティティの解放をkぽを通して少しづつ行うことのできた一年だったなと思います。来年もどんなkぽが現れるのか、ほんとにほんとに楽しみです。

 

 

 

 

・B面

 

 

 

 


[MV] DIA(다이아) _ WOOWA(우와)


[M/V] 핫플레이스 (HOT PLACE) - TMI


SF9, Play Hard [THE SHOW 190226]


NATURE (네이처) - 내가 좀 예뻐 (I'm So Pretty) MV


네온펀치 (NeonPunch) - Tic Toc Official M/V


Bad Kiz - Babomba [MV] [HD]

 

 

 

 

 

KPOP最高!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!