イルカ・フレンズ・ミュージック

K-POPから全てを学んでいます

今週あたり(〜24.08.03)

友人とハスの花を見に行った。近年は一年に一回くらい、自分の発想にはないようなことを体験するのが定番で、過去には気球を見に行ったりバンジージャンプをしたりした。今年は大きな花畑が見たくて、それに近いかなということでハスを見に。見に行った結果、「咲いているな」以上の感想は特に浮かばなかったが、集団で見にきたおばさんたちが集合写真を撮っているところを見られたのでかなり儲けものだった。

 

ゆっきゅん×柴田聡子ツーマンライブ「ドリンクバー・フォー・ユー」を観に行った。チケットはソールドアウトでライブハウスは人でパンパン状態。アレだアレ、スーパーの特売キュウリを袋に可能な限り詰め込んだ時を思い出す。キュウリって買いすぎたところで特に使い道も思い浮かばないし栄養もないんだよな。私が食べ物の中で好きなもの一位はナスで、ナスにも栄養がない。

柴田聡子のパートからライブは始まったのだが、Your Favorite Things、side step、素直と好きな曲が次々続く中、私の頭ん中ではお金、新紙幣旧紙幣、渋沢栄一津田梅子北里柴三郎、仕事、仕事仕事仕事、がうずまいて竜巻を起こして付近一帯のライ麦畑がぐちゃぐちゃになっていた。別に理由はなく、ただただコンディションが悪く、これは突然起こるものだから仕方がないのだが、こんなにコンディションが悪くなるなんてとそのこと自体に落ち込んだ。そういえばいつもこういうライブハウスではソフトドリンクを頼むくせになぜかこの時は「カシスオレンジで」と口に出していたし、しかも「すいませんオレンジ切らしてて」と言われたし、別にカシスが飲みたかったわけじゃないのに「じゃあカシスソーダで…」と返して、いやジンジャエール頼めばよかったのに何でこんなことに?と飲みながら立ち尽くしていた。「スプライト・フォー・ユー」で柴田聡子パートが締まりつつある中、私の脳内では脳内竜巻に巻き込まれジンジャエールのあの瓶が舞い上がり、脳内私がああ脳内仕事仕事…と脳内うめきを漏らしていた。少しすると現実ゆっきゅんがステージに現れ、「年一」を歌い始めた。それは私の体を知らぬ間に動かし、頭を左右に揺らし、さっきまで脳内で広がっていたライ麦畑の大災害はライ麦畑ごと消え去っていた。私って本当にゆっきゅんの曲好きなんだなって、この時妙に理解して、それが無性に嬉しかった。グッズTを買って帰った。

この1時間前、私はグーグルマップの画面を見つめながら、「あ」と声をあげていた。その時歩いていた場所のすぐ近くに、前一緒に働いていた人の新しい職場があることに気が付いたからだった。別に仲良くもなく、多分向こうは会いたくも会いたくなくも何ともないし、私もいま偶然全てを思い出したくらいで会いたくも会いたくなくも何ともなかったけれど、その偶然がなぜか天啓のように思えて高揚し、自然とその場所を目指して歩いていた。まとわりつく熱風に汗がにじむ中10分ほど歩いて、大通りを挟んで見つけたそこは小さなレストランで、ディナーの開店の準備をしているように見えた。大きな背丈の人が机を拭いている後ろ姿が小さくも見つけられた。その人によく似ていた。

横断歩道の信号は青かったし、渡ってお店に近づいてもよかったけれど、”その先”が何も思いつかず、想像に浮かぶその人が私に向ける視線がなぜか憎しみばかりに思えてきて、そのうち信号は赤くなり、私は踵を返してライブハウスを目指すようになっていた。どうしても会いたい2人の関係じゃないはずのに、なんだかとても、私の存在だけが情けなかった。

 

 

その2時間前は下北沢でピザを食べていた。ひとつもやる気のないピザ屋に、ドメスティック・バイオレンスとあだ名をつけてしまいそうな男が働いていた。この男はきっと何の夢もなく、あるいはクラブ通いと鳴かず飛ばずのバンド活動で日々を濁している、などと考えながら、1ピースだいたい700円のDVピザを食べて無為な時間を過ごしていると、勢いよくピザ屋の扉が開き、「こんにちはー!!!!!!!!!!!!!!!」とガキの声が店内に響いた。下北沢にガキはいないと思い込んでいた私は、ガキがこんな店に用事があるという意外性も相まって、軽く腰を抜かしてしまった。小学生ガキ男子は友達と二人で突入してきてはレジへ真っ先に向かって「ピザください!!!!」と慣れたように叫んでいた。店員の男もまた慣れたように「こんにちはー」と笑みを浮かべながら迎え入れ、「もう夏休み?」とガキに言葉を投げかけていた。「うん!ピザはお母さんが後で、お金払いにきます!」と楽しそうにガキが答えると、「おー、ラジオ体操行ってんの?」と男は話を続けたが、途端にガキは「ラジオ体操…?」「何それ…」と訝しげな声を出し、会話のムードは滞ってしまった。ラジオ体操を知らない下北沢のガキにかける言葉を私は持っていないが、男は「おー今ないんだー」と流すことで全てを終わらせていた。ドメスティック・バイオレンスというあだ名をつけかけて、ごめんな。

 

 

遡って子供の頃…ピザは特別な日のご馳走だと思っていたし、今でも割とそう思うが、「えーピザは、お母さんが今日何も作りたくないって時に食べるやつだよ!」と、職場の人に言われたことがある。その人はインスタグラムに「家族は宝」と書いていた。私は家族のことは手放しで好きとは思えない。特に子供の頃から募った父親への憎しみはだんだん黒いピザ生地となり、今もなんとはなしにこねられ続けていて、実は父親が死んだ時には火葬場で真っ黒なピザが焼きあがると言われている。火葬炉から骨でなく大きな黒いピザが出てきたとき、母は腰を抜かし、姉は小さい悲鳴をあげ、兄は「うおー」と言うはずだが、私は「みんな!ピザだよ!」と、みんなに向けて下北沢のガキぐらい大きな声を出す。父が死んだ頃には多分他の親戚とかもすでにみんな死んでて父親の葬儀には来てないので、兄・姉・母・私、あと多分兄嫁、の5等分が為されるはずである。私は持参したタバスコをかけまくり、本来の味がわからなくなったびしゃびしゃの黒ピザを食べる。一粒も涙が出ないので、火葬場の熱で乾いて痛む目に目薬を点し、ピザの耳は食べずに吐き捨てる。かりそめ天国で有吉とマツコが、ピザは耳が美味いと思えるようになれば大人だ、大下容子アナも耳が好きなはずだ、と話していたが、私はピザは、モッツァレラが載ってるから美味いんだと思うし、耳が美味いなど嘘だと思う。

 

 


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ピザ屋はともかく、ピザのデリバリーは、全員殺される。