ドスコイ墓場

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瞬息の感情:デレステ「クレイジークレイジー」の回

全くこんなことをやっている場合ではないのだが巨大な感情を解消しないとどうしようもない瞬間が来たので(オタク的性質を有する者にはそういう瞬間が来がち)推敲も何もせずに殴り書く。音楽を聴いていていわゆるクソデカ感情が芽生えた時またこうやって解消できるように一応瞬息の感情などという枠組みだけは作っとくけど続けるかは不明。

今回はリズムゲームアイドルマスターシンデレラガールズ・スターライトステージ」収録楽曲、一ノ瀬志希宮本フレデリカ「クレイジークレイジー」、主に歌詞が持つ広がりについて。

私はこの世に存在するあらゆるゲームのプレイが苦手で、圧倒的名作である(ですよね?)UNDERTALEのNルートクリアすらもう一年以上アズゴア戦の手前で放棄している。自力で完走したゲームはマリブラ(DS)とHER STORYだけである。KPOPオタクにとって嬉しいコンテンツ、KPOP楽曲でプレイできるリズムゲームも数年前から存在するが、私はこれにも手を出して割とすぐ飽きている。

そんな気質なのになぜデレステに手を出したのか?というと、ツイッターで偶然目にした諸星きらりさんの二次創作がめちゃくちゃよかったからだ。ていうか諸星きらりさんはマジで尊すぎる。デカイ女が好きなどと簡単に言い放てるくだらない私だが、諸星きらりさんの自分の世界の構築の仕方と守り方、それがありつつも殻にこもらず他者に優しい視線を向けられる気概を知ってさらに好きになった。案の定リズムゲームとしてのプレイはほぼ放棄していて、デレステ楽曲をディグるか、フォトスタジオできらりさんに踊ってもらいそれをひたすら眺めるだけの有様になっている。

諸星きらりさんの話をしたが諸星きらりさんは今回全然関係ない。クレイジークレイジーは確かツイッターで「良い曲…」とツイートしてる人がいたから確認したんだった。

 

 

 


「デレステ」クレイジークレイジー (Game ver.) 一ノ瀬志希、宮本フレデリカ SSR (Crazy Crazy)

 

 

 

すっごい

 

 

 

 

 

 

 

すっごい良い曲だった

 

 

 

 

 

ラベル付けするなら一応kawaii future bassになるんだろうか。あまり詳しくないのでそこには言及できないが、良い曲ですよね?

 

 

 

 

 

 

 

良い曲ですよね

 

 

 

この胸を締め付けるような感覚、眠る前のわずかな時間の空気が、再生するだけで蘇る。良すぎて辛かった。想い人のことを考えすぎておかしくなってしまう、ラブソングには「ありふれた」恋心の描写。だけどもよく聴いてみれば、その狂おしい恋心が、小さな部屋、そこで見ていた映画、空を飛ぶ夢のリンクから芽生えていく…傍目から見たらつまらない日常の中で起こるドラマティックでエポックな内面の変化を書き記した歌詞であることに気がつき、

 

 

 

 

 

もうほんとすごいなって

 

 

歌い出しから歌い終わりまでそれこそ、映画のワンシーンのように美しい。

 

クレイジークレイジーはこの歌い出しから始まる。

 

空飛ぶ夢 見たあとに

飲みかけのぬるいコーヒー

見慣れた部屋で

 

空を飛ぶ夢から覚めて目の前に広がるのは、いつも通り変わらない、自分の部屋。

 

映画はまだ 続いてる

その向こう

のんきな空

そう、変わらない

(lazy,lazy)

 

どうやら部屋で映画を見ながら眠っていたようで、その向こう、テレビの向こうには窓があるのだろうか?そこからは何の変哲も無い空模様が見えている。

 

特別なことは何も起きていない、まだ眠気が残る(lazy)まどろむ時間を過ごしている。それなのに、

 

呆れるほどありふれたそんな午後

違っているのは私だけ 

 

ねえなんでだろう なんでだろう

止まらない 終わらない

きみのこと考えてわたし

おかしくなっちゃうよ(crazy crazy)

 

(中略)

 

なんでかな? 変だよね

きみと空飛びたいなんて 思っちゃってるんだ

 

最初に見ていた空を飛ぶ夢から目覚めて気持ちは小さな部屋に収束したはずなのに、うたた寝している間に見たそんな夢から訳もわからず恋心が膨張し、また大空へと飛んで行ってしまう。このシームレスな空間の広がりの美しさ…そしてその原因は、自分に理解できないうちに起こってしまった感情の高まりにある。

 

 

 

 

すっげえ〜〜〜〜〜〜〜〜〜…

 

 

 

 

こんなことある?

 

 

 

 

 

つまりこのクレイジークレイジーというのは「君への想いの強さでおかしくなってしまう」という意味も含めて、「その激しい感情の暴走がなぜ起きたのか理解できなくて(突然で、突飛で、それなのにあまりにも強くて)おかしくなってしまう」という大きな意味を表しているのではないだろうか。

 

 

それはまさに恋の不条理じゃないだろうか……………

 

 

もし読んでいない人がいたら読んで欲しい、漫画「彼氏彼女の事情」2巻の話である。主人公である雪野はもう一人の主人公である有馬総一郎から、1話で告白を受けている。しかし自分の秘密がバレてしまい、有馬にも秘密があり、2人は互いに以前とは違うイメージを抱いた上で友達になりよくつるむようになる。この時有馬の告白は保留されていて、雪野自身も有馬にはずっと恋愛的な行為は湧かずにいた。

しかしある日、放課後、月明かりの射す教室で、雪野はうたた寝から目を覚ます。目の前の有馬が笑って語りかける。強く吹く風に揺らされ木々が音を立てる。教室には2人きりである。

雪野はその時このように語る。

それはどこからやってくるんだろう

昨日まではなにもなかった

さっきまではどこにもなかったはずなのに

突然

「特別」に見えた

有馬が特別に見えた

 

特別なことは何も起きていないのに、雪野の中には突然、有馬への恋心が生まれたのである。

 

 

 

クレイジークレイジーはこの理解も制御も効かない恋心の芽生えという点で、彼氏彼女の事情の雪野と通底していると思うのだ。

 

 

恋愛が持つ理解不能さ、不条理さ、激しい強さ。

 

ねえ落ち着いて、落ち着いて

ひとりごと 呟いて

寂しげに冷え切ったコーヒーを飲み干した

映画なら終わったよ

ありきたりなロマンス

おかしいな おかしいよ

 

わたし 泣いちゃってるんだよ

 

 

ありきたりなロマンスだというのに、今わたしはどうして泣いているのか?

恋に落ちたからだ。

突然恋に落ちて、ぬるかったコーヒーは冷め、途中から見続けていた映画は終わってしまった。そんなにも長い時間をかけてもいまだ戸惑っている。

 

 

わたしなら

ラストのI love you

最初に言うよ

 

きみとなら ふたりなら

そのあとは壊れそうなキスしたまま

映画が終わる

 

 

空を飛んでいたふたりは、今度は2人きりの映画の中へと飛んでいく。

 

この縦横無尽な空間の移動!!!!!!!!!それはまさしくおさまらない恋の衝動!!!!!!!!!!!

冷凍都市の暮らし行方知らずの彼奴何時の間にか姿眩まし!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!

 

 

 

 

 

 

やべ〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜

 

 

 

レイジーなラブが今、クレイジーなラブへ…ゆっくりと流れていた恋心が、突拍子もなく激しく動き出す…

 

なんでかな なんでかな???

おかしいな

このままじゃだめだよ

わたしおかしくなっちゃうよ

 

 

 

 

自分でもどうすることのできない恋心が、なんの前触れもなく芽生えた時に流れる涙を想像して、私もまたおかしくなってしまった。

 

なんでかな

変だよね

助けてくれ

 

 

 

 

 

おかしくなっちゃうよ……

 

 

 

 

 

 

 

諸星きらりSSR欲しい…